九州大学応用力学研究所対馬海峡表層海況監視海洋レーダーシステム ―システムの概要―

§ 海洋レーダーを用いた海流の監視

主な海流監視レーダー

海洋の力学的・物理学的な研究を進めていくためには、 その材料となる観測データ (流れ・水質・水温など) が必要です。 しかし、 海洋観測には、 固定した観測点を設置・維持することが難しいという大きな問題があります。 そのため、 従来の海洋観測では、 時間的にも空間的にもまばらなデータしか得られないことがほとんどでした。

これに対し、 海洋レーダーを用いると、 海面付近の流れしか計測できないという制約はあるものの、 陸上に固定された装置を用いて (洋上に観測点を設けることなく) 時間的・空間的に密度の高い海流のデータを得ることができます。 そのため、 近年になって各地に海洋レーダーが導入・設置されるようになりました。 たとえば、 現在国内で稼動中の主な海流監視レーダーを挙げると、 図のようになります。

九州大学 応用力学研究所 東アジア海洋大気環境研究センター は、 対馬海峡周辺に 2 機種 7 基の海洋レーダーを設置し、 対馬海峡表層海流の監視をおこなっています。 対馬海峡は日本海の水の流れの “最上流” 側にあたり、 ここでの海の状態を知ることは、 日本海の研究にとって非常に重要な意味をもちます。 海洋レーダーシステムを用いた対馬海峡の流れの観測結果を 他の観測結果と組み合わせることにより、 日本海を研究するための重要なデータが得られるものと期待されます。

§ 対馬海峡表層海況監視海洋レーダーシステム

レーダーの配置

対馬海峡表層海況監視海洋レーダーシステムは、 長距離計測用固定式レーダー (Codar 社製) 5 基、 中距離計測用可搬式レーダー (長野日本無線社製) 2 基、 計 7 基のレーダーで構成されます。

対馬海峡は、 九州と韓国の間に位置する海峡で、 対馬により西水道と東水道とに分けられます。 この西水道に面した地点 (椎根・青海) に 2 基, 東水道に面した地点 (志賀島・赤瀬鼻・野良・赤島・五根緒) に 5 基のレーダーを設置しています。

西方から日本海に流れ込む対馬暖流は、 対馬の背後にあたる東水道に複雑な流れの場をつくります。 そのような対馬東方の流れに注目し、 現在のところ、 東水道を 5 基の海洋レーダーで集中的に観測しています。

実際に設置している海洋レーダーの外観

実際に設置しているレーダーのアンテナの外観を下に示します。 左の写真は、 長距離計測用固定式レーダーの受信アンテナの設置状況の一例 (椎根) です。 白いボックスの中には、 レーダーを制御するための機器類が収納されています。 右の写真は、 中距離計測用可搬式レーダーのアンテナ列 (赤島) です。 白いボックスの大きさは、 左の写真のものとほぼ同じです。

長距離固定式レーダーアンテナ 中距離可搬式レーダーアンテナ

§ 最新の観測結果

最新の対馬海峡表層流況図

海洋レーダーによる最新の対馬海峡表層流況図を公開しています。


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